わたしたちについて

NPO法人はこだて音の視覚化研究会活動パンフレット
(令和5年度事業計画案の概要)

  1. 概要および活動目的
    特定非営利活動法人こだて音の視覚化研究会(略称:はこおと)は、平成20年(2008年)6月10日に設立されました。設立のきっかけは、平成19年(2007年)8月16日に公立はこだて未来大学で行われた「新たなコミュニケーションの手段として、外部からの音声を認識してディスプレイ上に手話で表現できるシステム(=「音の視覚化」)を構築できるのか」をテーマにした協議を始めました。

    わたしたち法人は、「障がい者が暮らしやすいまちづくり」において、「音の視覚化」を活用することで、災害時における情報伝達や高齢者等への迅速な情報提供など、障がい者や多くの人々にとって暮らしやすいまちづくりを進めることを目的としています。公立はこだて未来大学との共同研究を通じて、「音の視覚化」を活用した、障がいのある人もない人も、誰もが安心して生活をおくることができる心豊かで多くのふれあいに満ちた暮らしやすい生活の実現をつくるための社会的な使命を掲げ、活動を行っている一般市民の活動団体です。

    現代社会では、新たな社会基盤の変化に適応できず、いじめや嫌がらせの対象になったり、コミュニケーションが困難で仕事を辞めざるを得なくなったり、引きこもりになるなど、障がい者の中にも多くの問題が存在しています。特にろう者においては、これらの問題がより深刻になっています。

    こうした問題を解決するためには、専門的な知識を持った団体が障がい者や高齢者などに対してコミュニケーション支援や職業能力育成の学習機会を提供する必要があります。わたしたち法人では、社会生活実態の情報交換や公立はこだて未来大学との共同研究だけでなく、函館大学や教育大学函館校、さらには東京にある日本聴覚障害者コンピュータ協会との連携など、異なる専門分野を持つ団体との協力も行っています。また、持続可能な開発目標(SDGs)を考慮しながら、聴覚障がい者の社会生活を支援するための機器開発やICT活用による手話アニメーションを使った地域防災コミュニケーションシステムの開発などに取り組んでいます。

    わたしたち法人は、若者と地域交流の場での貢献活動にも参加し、「だれ一人を取り残さない世界をつくる!」を目標に掲げ、災害援助活動分野においても活動しています。2030年までに、誰もが解決策を見つけるための情報提供の場を提供し、様々な団体との協力と交流を深めていくことを目指しており、災害時に聴覚障がい者のみならず、聴覚に障害がある人や高齢者の孤立を防ぐことも重要な活動の一環としています。

    函館は山と海に囲まれた美しい自然に恵まれたまちであり、わたしたちはふるさと函館を愛し、先人たちが築き上げた歴史や異国情緒の街並みを尊重しながら、函館の未来を見据えて学んでいます。わたしたちは「音の視覚化」を通じて夢と希望に満ちた未来を創造し、心豊かで次の世代に引き継ぐ笑顔と大きな使命があります。

    そのためには、子供から大人まで一人ひとりのニーズに対応できるよう、地域住民と協力してふれあいの場を創り、大学や地域との連携と交流、ネットワークの構築、地域防災コミュニケーションの推進など、誰ひとりが取り残されない地域の活性化に貢献することを目指し、1300年前の奈良時代に存在したろう者の生活を礎に、手話コミュニケーションの歴史を鑑み情報収集や地域防災コミュニケーションの改善に取り組むと同時に、幕末に福沢諭吉が書かれた『西洋事情』の影響を受け、世界の人々は、手話が世界言語の平等な扱いを受けるべきであると認識されるようになりました。これから新しい北海道のスタイルを模索しながら地域交流の活性化を目指しています。

  2. 現状や問題点
    21世紀に入っても、ろう者を含む多くの障がい者が直面する問題は深刻さを増しています。特に、北海道南西沖地震、阪神淡路大震災、東日本大震災、北海道胆振東部地震(ブラックアウト)などの自然災害や、JR北海道の火災事故などの大規模な事故におけるろう者の課題解決は緊急の課題です。
    わたしたちは、特にろう者や障がい者が緊急時に直面する課題を以下の通り認識し、その解決に向けた取り組みが必要であると考えます。
    (1)新しい社会基盤(パソコン、携帯電話など)に適応する困難さ。
    (2)コミュニケーションの困難さ。
    (3)働く意欲があるが、適切な職業がない。
    (4)障がい者へのいじめや嫌がらせ。
    (5)ひきこもりの問題。
    (6)障がい者に必要な情報が整理されて提供されていない。

  3. 主な事業活動の内容
    (1)手話コミュニケーション支援
    公立はこだて未来大学のFUN手話サークルと連携し、手話学習や地域住民との交流の場を提供。
    (2)音の視覚化(情報のバリアフリー化)の研究と暮らしやすいまちづくりの推進
    「2D・3D手話アニメーションを使った地域防災コミュニケーションシステムの開発」(音や言葉のイメージに関する情報デザインの研究)
    「ヒアリング調査」(情報デザイン開発実験を通じたインタビュー調査活動など)
    「音の視覚化フォーラム」(タウンミーティング形式での討論や講演)
    (3)情報収集と発信
    課題解決に必要な各種情報の収集と発信活動を行います。
    ろう者に関する歴史や物語、手話に関する資料などの図書の閲覧と貸し出し、機関紙や「未来ヶ丘のきずな風」の編集・発行も行います。
  4. 計画
    国連の障害のある人の権利条約や国内の障害者基本法、北海道の障がい者条例などに基づき、障がい者にとって暮らしやすい地域づくりを実現し、健康増進と幸福度向上を促進するため、災害発生時のリスクコミュニケーションによる孤立化防止と情報のバリアフリー化を進めるための共同研究を公立はこだて未来大学と行います。

    さまざまな生活実態における問題を解決し、「音の視覚化(=情報のバリアフリー化)」を活用し、ろう者、障がい者、高齢者など多様な人々に必要な情報を的確に伝え、災害時の孤立を防ぐための合理的配慮(ニーズ)を考慮し、健康と幸福をあふれる未来をつなぐ情報デザインの開発研究を進めています。